2023年5月1日(月)~6月23日(金) 図書館特別展 与謝野晶子の世界
 日本近代の浪漫主義思潮の凱歌となった『みだれ髪』以降、明治、大正、昭和の三代にわたって歌壇に新風を送りつづけた与謝野晶子は、歌集二十七冊に収められた短歌はもとより、小説、童話、文芸・女性評論や古典研究とその現代語訳にいたるまで、あらゆるジャンルにわたり、まことに豊穣な創作活動を展開しました。
 一方、家庭においては、鉄幹与謝野寛の伴侶として、十一人の子供を産み育てた女性でありました。
 のみならず、本学創立のあくる年、大正十年(一九二一)に文化学院の学び舎を拓き、学監として教壇に立ちましたが、その学びの中心に文学を据えたこともまた、本学の出発と揆を一にします。
 関東大震災で校舎を喪った文化学院へ教室を提供して縁を結んだ本学は、大正期に新詩社へ加わって以後、晶子を手篤く支えた近江湖雄三(こおぞう)・満子夫妻の所蔵品を昭和二十八年に譲り受け、「与謝野文庫」を設置して、これを特殊コレクションの中核と位置づけ、貴重な資料の保全とともに、著書はむろんのこと、「源氏物語礼讃」の巻子をはじめとする、軸、短冊、色紙、書簡等、自筆資料の蒐集に力を傾けてまいりました。
 今回の出陳は、その一部ではありますが、歌の詠み手である晶子ばかりでなく、文字の書き手である晶子の筆づかいも味わっていただきたく、所蔵から精選いたしました。
 与謝野晶子生誕百四十五年を迎える本年、多方面におよぶ活動の軌跡に新たな光をあてることができれば幸いです。

二〇二三年五月吉日
昭和女子大学図書館 館長 吉田昌志
図書館特別展 与謝野晶子の世界-
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